2025年7月5日に大災害が起きる――そんな予言を描いた漫画家・たつき諒さんの著作が、改めて注目を集めています.
一方で、その予言が科学的根拠に乏しい「デマ」だという指摘も相次ぎ、混乱や不安を生んでいます。
本記事では以下のポイントを詳しく解説しています:
- たつき諒さんの予言がどのように広まったか
- 気象庁による「デマ」断言の背景
- 海外での反応と観光・航空業界への影響
- 防災意識を高めるきっかけとしての意義
たつき諒さんの予言が社会に与えたリアルな影響と、デマとされる情報との向き合い方を、事実をもとに丁寧に掘り下げます。
1. たつき諒の予言とは何か?話題の発端を振り返る
不思議な予知夢を描いた一冊の本が、これほどまでに注目を集めるとは誰が想像したでしょう。
漫画家・たつき諒さんが描いた未来のヴィジョン、それが「2025年7月5日」という日付とともに再び話題の渦中に立っています。
でも、そもそもこの“予言”ってどこから来たのか?どうしてこんなにも人々の興味を引くのか?
ちょっと立ち止まって、その始まりから整理してみましょう。
1-1. 「私が見た未来」に描かれた“2025年7月5日”
まず名前を聞いたことがある人も多いはず、『私が見た未来』という作品。
たつき諒さんが1999年に出版したこの漫画は、彼女自身が見た“予知夢”をもとに構成されています。
そして、2021年には加筆修正版として『私が見た未来 完全版』(飛鳥新社)が発売されました。
ここで注目されているのが、2025年7月5日という日付。
新たに描き下ろされた夢の内容によると、日本とフィリピンの間の海底が“破裂”し、東日本大震災の3倍の津波が太平洋沿岸に押し寄せる……という衝撃的なビジョンが登場します。
同年7月5日に見た予知夢の内容として「その災難が起こるのは、2025年7月です」「突然、日本とフィリピンの中間あたりの海底がポコンと破裂(噴火)したのです」「太平洋周辺の国に大津波が押し寄せました。その津波の高さは、東日本大震災の3倍はあろうかというほどの巨大な波です」などど記述。
あとがきで「夢を見た日が現実化する日ならば、次にくる大災難の日は『2025年7月5日』ということになります」と日付を特定している。
引用元:産経新聞
これ、さすがにゾワッとしますよね。
でも重要なのは、この日付が“夢で見た”という体験に基づいている点。
あくまで「夢」であって、科学的なデータがあるわけではないんです。
1-2. 「東日本大震災を当てた」とされる理由
ではなぜ“当たる”と噂になったのかというと、2011年に起きた東日本大震災と、この本に描かれていた内容に“似たような表現”があったから。
プロフィールを簡単にまとめると──
名前 | たつき諒(本名:不明) |
---|---|
職業 | 元漫画家(活動は1990年代) |
主な作品 | 『私が見た未来』(1999年) |
活動再開 | 2021年、再編集版を出版 |
1999年の初版本には「大津波」のイラストが描かれていて、それが2011年の出来事と“重なる”と一部で話題になったんです。
しかも、作中には「2011年3月11日頃、大災害がある」と読めるような記述もあり、それが「的中した」と解釈されて信憑性が急上昇しました。
ただし、後から見ると何とでも解釈できるのが予言あるある。
実際には「偶然に一致しただけでは?」という冷静な声も多いのが現実です。
たつき諒さんってどんな人と気になった方は次の記事を参考にしてくださいね。

1-3. 2025年の予知夢に対する世間のリアクション
では今回の“2025年7月5日”の件に、世の中はどう反応しているのかというと──ちょっと異常なレベルで拡散されています。
その影響は観光業にも波及し、実際に2025年5月の統計では香港からの観光客だけが減少。
さらに香港の航空会社の一部は、日本路線の減便や欠航を発表しました。
同書は中国語版も発行され、特に香港では有名な風水師も日本での大地震を予言したため、訪日を控える動きが出ている。日本政府観光局が今月18日に発表した5月の訪日客数は5月としては過去最多を更新する一方、国・地域別で香港だけが減少した。香港の航空会社は日本路線の一部で夏季の欠航や減便を決めている。
引用元:産経新聞
もはやエンタメの枠を超えて、社会現象に近いですよね。
日本国内でもSNSでは賛否両論が渦巻いていて、「怖すぎる」「信じるべきじゃない」「本気で備える」という声が入り乱れています。
2. たつき諒の予言は本当にデマなのか?
さて、この予言。
気になりますよね。
信じるか信じないかはあなた次第……なんて言葉が似合いそうですが、実は国の機関がはっきりと“否定”しているんです。
2-1. 気象庁が断言した「予言=デマ」の真相
これは2025年6月13日の記者会見でのこと。
気象庁の野村竜一長官が、「科学的な知見では日時や場所を特定しての地震予知は不可能です」と、きっぱり明言しました。
つまり、今回の“7月5日”に起こるとされている災害については、科学的な裏付けがまったくない。
だから“デマ”と判断されるわけです。
行政がここまでハッキリ言うのは、かなり異例の対応です。
2-2. たつき諒本人による“予言の軌道修正”とは
さらに注目したいのは、たつき諒さんご本人の発言。
2025年6月に出版された新作『天使の遺言』(文芸社)の中で、「7月5日に必ず何かが起きるとは思っていない」と、自ら“予言”の意味合いを柔らかく訂正しています。
産経新聞を通じて公表されたコメントでも、「防災意識が高まるのは良いこと」と語っており、災害への備えを促すきっかけになればという意図が見えます。
どうやらたつき諒さん自身も、“確定的な未来”ではなく“危機意識を促す一つのきっかけ”として、自身の夢を公開しているようです。
たつきさんは今月に入り、自伝「天使の遺言」(文芸社)を出版。「私が見た未来 完全版」について「結果的に出版社の意向中心で出版されたことに、不本意な思いもありました」としている。
「7月5日」の日付について、「過去の例から、『こうなのではないか?』と話したことが反映されたようで、私も言った覚えはありますが、急ピッチでの作業で慌てて書かれたようです」と、編集部による聞き書きだと示唆。「夢を見た日=何かが起きる日というわけではないのです」と日付の特定を否定した。
引用元:産経新聞
2-3. 科学的に見た「地震予知」の限界とは?
そしてここが最大のポイント。
そもそも地震って、今の科学技術では“予測できない”んです。
たとえば、地震が起こる可能性が高いとされる南海トラフ地震ですら、「今後30年以内に70~80%の確率」といった大ざっぱな予測しかできません。
場所も時期もピンポイントで当てるのは、ほぼ不可能というのが現実です。
だからこそ、日付や規模を具体的に示す“予知夢”は、科学の世界では信用されていません。
どんなに話題になっても、根拠がない以上、それは「信じる」ではなく「感じる」に近いものなんですね。
3. たつき諒の予言が巻き起こした社会的影響
ひとりの漫画家が描いた“未来の夢”が、ここまで現実社会に影響を及ぼすとは誰が想像したでしょう。
2025年7月5日をめぐるたつき諒さんの予知夢は、国内だけでなく海外にも波紋を広げ、観光、航空、そして人々の心理にまで影を落としています。
これ、単なるオカルトの話で済ませられないくらい、実際に動いてしまっているんです。
3-1. 香港での拡散と観光客減少の現実
まず驚かされたのが、香港での反応です。
日本では「え?またこの話題?」という空気も漂っている一方で、香港ではこの“予言”が本気で信じられてしまったケースもあるようです。
きっかけは、たつき諒さんの著書『私が見た未来 完全版』の中国語版が一部で注目され、そこから一気にSNSで拡散されたこと。
さらに現地の風水師やスピリチュアル系のインフルエンサーたちが「7月に大地震が来る」と煽るような投稿を続けたことで、一般層にも不安が広がっていきました。
その結果、日本政府観光局が発表した2025年5月のデータでは、全体の訪日客数が過去最多を更新したにも関わらず、香港からの観光客数だけが減少。
一部の香港人観光客が日本行きを“回避”し始めたという、かなりリアルな影響が出ています。
3-2. 航空便の減便やSNSでの不安拡大
観光客の減少は、当然ですが航空業界にも影響しました。
2025年6月の時点で、香港の一部航空会社は日本路線の減便や夏季スケジュールの調整を発表。
その背景にあるのが、7月5日前後のフライト予約のキャンセル増加です。
香港の反応はフライト予約をキャンセルするほどですが、日本はどうでしょうか?
世間が騒ぐと「えっ本当に」と気になってくる人もいますよね。
冷静に「予言は当たらない」とみている人も目立ちます。
3-3. なぜ一部地域でここまで影響が出たのか?
ここで気になるのが、「なぜ香港でここまで影響が大きかったのか?」ということ。
日本では「またスピリチュアル話でしょ」くらいの認識の人も多いなかで、香港では社会的にも反応が強かったんです。
理由のひとつは、香港社会に根付いた“風水”や“占い”への信仰。
未来を予測することに価値を感じる文化が深く根づいているため、“予知夢”のようなエピソードが受け入れられやすい土壌があるんです。
もうひとつは、日本の地震リスクに対する「不安」が常にあるということ。
日本は災害が多い国、という印象が強く、特に2011年の東日本大震災以降、地震=現実的な恐怖として認識されています。
だから、“7月5日”というピンポイントの日付がついた情報には、どうしてもセンシティブに反応してしまうんですね。
4. たつき諒の予言をきっかけに再確認すべき「防災意識」
予言そのものの真偽はさておき、たつき諒さんの言葉にもあったように、防災意識が高まるきっかけになるなら悪い話ではないのかもしれません。
むしろ大事なのは、「いつ起きてもおかしくない地震への備え」を、日常の中でどれだけ本気で考えられるか。
今回はその“きっかけ”として、この話題が意味を持っているのは確かです。
4-1. 南海トラフ地震の可能性は現実に存在する
たとえば、南海トラフ地震。
これは日本政府も「30年以内に70~80%の確率で起きる」と発表している、れっきとした現実の脅威です。
たつき諒さんの“予言”とは関係なく、この規模の地震は将来的にほぼ確実に起きると言われています。
特に太平洋側の都市では津波や建物倒壊、ライフライン断絶など、深刻な二次災害も懸念されています。
そう考えると、スピリチュアルな予知夢以上に、政府が出しているこの“現実の数値”のほうがよっぽど怖いんですよね。
4-2. 「予言に踊らされない」備えの基本とは
防災って、「怖がるため」じゃなくて「守るため」の準備です。
だからこそ、“誰かの夢”に右往左往する前に、自分の暮らしを守る現実的な行動が必要です。
たとえば、住んでいる地域のハザードマップを確認しておくこと。
避難所の位置を家族で共有しておくこと。
懐中電灯やラジオなど最低限の防災グッズを一か所にまとめておくこと。
どれも、手間はかかっても特別難しいわけじゃありません。
怖いから備えるんじゃなくて、「どう転んでも大丈夫」って思うために備えるんです。
4-3. 本当に役立つ防災グッズと備蓄のリスト
最後に、いざという時に「これがあって助かった」となる防災アイテムをざっと挙げておきます。
- モバイルバッテリー(2台以上)
- スマホ対応の手回し充電式ラジオ
- 非常食(レトルト・缶詰・カロリーメイトなど、1週間分)
- 2リットルの水 × 人数 × 7日分
- 救急セット(常備薬も忘れずに)
- 簡易トイレと携帯用トイレットペーパー
- LED懐中電灯(ヘッドライト型が便利)
- 生理用品、乳児用品など必要なケア用品
- 折りたたみスリッパや防寒ブランケット
これだけあれば、「突然の災害」でも数日は冷静に対応できます。
特別なことをするより、こういう“ベーシックな備え”をちゃんと持つことこそ、実は一番の安心材料です。
この先、「7月5日」に何が起こるかなんて誰にもわかりません。
でも、“いつか”に備えることは、今この瞬間から誰にでもできるんです。
5. 【考察】たつき諒の予言をどう受け止めるべきか?
一冊の漫画に描かれた「夢」が、これほど人々の心を揺さぶり、社会まで動かしてしまった――たつき諒さんの予知夢は、単なる“話題作”の域を超えています。
でもそれって、本当に「信じる」「信じない」だけで片付けてしまっていい話なんでしょうか?
予言というものは、突き詰めれば科学的根拠に乏しい“フィクション”です。
それでも、人の心を動かし、行動を変える力がある。
だからこそ、無視できない。
そしてそこにこそ、この騒動が私たちに問いかけている価値があるのかもしれません。
5-1. デマでも意味がある?──防災意識を高める“フィクションの力”
たつき諒さんが2025年6月に新たに出版した『天使の遺言』(文芸社)で語っていたのは、「予言そのものが当たるかどうかより、防災の意識が高まっていることが大事」という視点でした。
本人のコメントを通して見えてきたのは、「7月5日が特別な日なのではなく、いつ起きるかわからない災害に備えるべき」というメッセージ。
それって一種の“フィクションの力”ですよね。
事実ではないかもしれないけれど、多くの人が意識を変え、防災グッズを揃えたり、避難所を確認したりするキッカケになった。
これは、科学者の論文や官公庁の資料よりも、ずっと影響力がある“物語”の力とも言えるかもしれません。
5-2. エンタメと防災の狭間で揺れる“予言の価値”
とはいえ、予言を信じすぎてパニックになるのは違います。
日本の気象庁は2025年6月13日に「地震の日時や規模の予知は現時点の科学では不可能」と明言しました。
つまり、「7月5日に地震が起きる」と決めつけるのは、完全に非科学的ということです。
だけど、エンタメの世界では“ちょっと不思議でゾクッとする話”が好まれるのもまた事実。
映画や小説と同じように、たつき諒さんの予言も「物語」として消費される一方で、「本当に起きたらどうしよう」というリアルな不安が入り混じる。
この狭間に立たされたとき、予言という存在が単なるエンタメを超えて、社会の“反応装置”になっているようにも感じます。
5-3. 「怖がること」と「備えること」は別物
大事なのはここ。
「怖がる」のと「備える」のは、まったく違います。
感情に流されて過剰反応するのではなく、「万が一に備えて、今日できることをしておく」。
その姿勢こそが、今回のような社会現象のなかで一番問われていることなのかもしれません。
6. たつき諒の予言に対するネットの声と世論の温度差
ネット上では、たつき諒さんの予言をめぐって、肯定・否定・ジョーク・皮肉、ありとあらゆる反応が飛び交っています。
まさに“カオス”状態。
でも、その多様な声をよく見ていくと、ただ騒いでいるだけじゃなくて、それぞれが「何かを感じ取っている」のがわかります。
笑い飛ばす人もいれば、ガチで心配している人もいる。
その差はあれど、共通しているのは「関心を持った」ってこと。
そこに、この話題の本質があるのかもしれません。
6-1. SNSの反応から見る不安と冷静の狭間
SNS、とくにX(旧Twitter)では、この予言に対する投稿が日に日に増えています。
「怖すぎる…」と心配する声があるかと思えば、「どうせ外れるでしょ」と冷静に受け流すスタンスの人も。
この温度差が、リアルに人々の“防災感覚”を映し出している感じすらします。
何も感じないより、感じすぎるほうがまだマシ。
けれど、その“感じ方”が人によって全然違う。
それが今の世の中のリアルなんです。
6-2. 風刺・パロディ・真剣な議論──多様な受け止め方
面白いのは、真面目な考察だけじゃなく、パロディやネタ投稿まで飛び交っているところ。
「7月5日は寝て過ごす」といった皮肉めいた投稿や、「予知夢で会社サボりたい」というジョークまで。
こうした“ユーモアの交差点”のような空間がネットには存在していて、ただ恐怖に煽られるだけじゃない、ちょっとしたガス抜きになっているようにも思えます。
その一方で、真剣に防災について発信するインフルエンサーも増えています。
要するに、「どう受け取るか」も自由な時代になったということですね。
6-3. 今後も続く「予言ブーム」とその向き合い方
一度こうした話題が“火”をつけると、次から次へと似たような予言や“謎の夢”が出てきます。
これはもう、時代の空気とも言えるでしょう。
AIの発達やSNSの普及で、ひとつの情報が一瞬で世界を駆け巡る時代。
だからこそ、「予言ブーム」は今後も定期的にやってくる可能性が高いです。
問題は、「それにどう付き合っていくか」。
恐怖に飲まれず、冷静に情報を選び、自分の生活を守る視点を持つこと。
それがこれからの“予言社会”で生きていくための、新しいリテラシーなのかもしれません。